お気に入りの登場人物は?


『アルトローヴェ ふしぎな村の物語』の編集をしていた去年の秋のこと。

「アルトローヴェで、後藤さんの好きな登場人物ってだれですか?」と訳者の森さん。
「え? 好きな登場人物? 考えたことなかった! 森さんはいるんですか?」
「私はゼフィ! 本当はひとりでいたいけれど、みんなともいてあげるところとか……」
「へえ、そうなんですね! 私も考えておきます!」

とりあえずそう言っておいたものの、
「そうか、本を読んでいてお気に入りの登場人物とか見つかるものなのか~。そういえばこれまで、物語でも映画でもジブリでも、私はこのキャラクターが特に好き! とかなかったもんな~」とぜんぜん思いつかず。
同じ質問を原作者のミケーレとモニカにしたときも、まだ思いつかず。
それでも、「だれだろう?」となぜかときどき頭をよぎるのです。

私は昔から、現実の世界でダンディな(今もこういう言い方するのか?)おじさんに恋をしてしまうから、たぶんアルトローヴェに住んでいたら第3章「海藻のはびこる村」のチンチャク医師にひそかに恋をしてしまう気がします。
あと、編集中にいつも笑わせてくれたふたりがいて、
第2章「ミニ竜巻がふきあれる村」に登場する「でも、確実にまちがいなく、家にとじこめられおしこめられて出られないよりましですぞ」のリピート氏と、第3章「海藻のはびこる村」にでてくる「あらやだ、おどろきモモの木!」のピッケルさんです。

イラストレーターのモニカは第4章「妖精に侵略された村」の女の子フローラ、作者のミケーレは、すべての章に登場するプラグマ青年が特に好きだそうです。
以前こんなふうに話してくれました。

モニカ フローラは、過度に保護しようとする(あるいは縛りつけようとする)傾向にある世界のなかで、自立とアイデンティティを模索する存在。父親のファウナは愛情深いけど過保護な人物で、娘を守りたいと思うあまりに、結果的に彼女を一種の「黄金の檻」に閉じ込めてしまう。その一方で、フローラは自由になり、外の世界を探検し、自分自身と声を見つけたいと願っている。これは私自身が強く共感するテーマで、フローラを通して、愛する人であっても、その人の自由のために余地を残しておくことの大切さを感じることができると思うの。

ミケーレ どの村人も大好きだけど、ひとりだけって言われたらプラグマかな。ベラベラ村長みたいな人はイタリアにもいっぱいいるけど、プラグマみたいな、寡黙なしっかり者がひとりは必要だと思うんだ。でも冒険の仲間にはフローラもいいし、カマドばあさんといっしょにおやつタイムっていうのもよさそうだし……ほんとうは寛大なベラベラ村長のことも僕はとっても好きなんだ。

個性豊かな村人たちが暮らすアルトローヴェで、ぜひみなさんもお気に入りの登場人物を見つけてみてください。


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