時間の地平線

2025年6月『じかん屋テンペリア』の刊行に合わせて、大阪・枚方市にある、
まちライブラリー「とかとか」さんで、宇宙物理学者で名古屋大学名誉教授の池内了先生をお迎えして、
絵本で哲学対話の会 時間の“いい”使い方って?というイベントを開催しました。

このイベントは、「とかとか」を運営している株式会社ランデザインの編集ライターで、童話作家、絵本専門士としてもご活動されている、なみもとあやさんに『じかん屋テンペリア』の本文監修をお願いしたというご縁から生まれた企画です。
池内了先生は本書に、あとがき「利己の時間と利他の時間」を書いてくださいました。

なみもとあやさんによる『じかん屋テンペリア』の読み聞かせ、「時間」について思考を広げ、グループで対話、池内了先生への質問タイム、イタリアのお菓子を食べながら交流、あっという間に時間が過ぎてしまう素晴らしい会でした。
その中でも、80歳になられた池内了先生の「時間の地平線」のお話は、
地元中学生を含む参加者の皆さんの目を輝かせ、特に心に残るものでした。

見晴らしのよいところで遠くを眺めると地平線が見え、海を眺めると水平線が見えるように、
時間にも地平線があると私は考えています。
しかしながら、私たちが眺める地平線、地球の形状と光によって幾何学的に決定されるものとは異なり、
時間の地平線は幾何学的な壁で限界が決まっているわけではありません。
時間には限界がなく、どれだけでも先を見ることができます。
逆に、私たちは目の前のことしか見ていないこともあります。
時間においてできるだけ遠くを見渡して生きていく、それはタイパとは真逆の発想です。
遠くの目標を見据えて生きていくということも大切なのではないかと考えています。

宇宙物理学者 池内 了 
2025年6月20日 まちライブラリー「とかとか」にて

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