
「イタリアで出版社を設立して…」とよく格好つけて話すのですが、
オフィスがあるわけでもなく、
本の世界とはまったく異なる仕事をしている夫、5歳の息子、家族全員を巻き込んで活動しています。
「ひとり出版社です」と言うのをいつもためらって
「小さな小さな出版社です」と言っています。
家族、協力してくださる皆さんの顔が浮かぶからです。
今日は、大阪と奈良のイベントに参加した夫マッテオの感想を載せたいと思います。
—
私はこれまで、本は静的な存在であり、そこにあるのは本と読者との親密な対話だと思っていました。
本に書かれた言葉が私たちを、一人ひとりの頭の中で形作られる世界へと導いてくれる、私的な出会いであると。
この夏、『じかん屋テンペリア』の刊行に合わせて日本で開催されたイベントで、私はまったく別の体験をしました。
本は単に読者一人に語りかけるだけではありません。本はときにコミュニティを創造します。
今回私たちは、読むだけでなく、経験や考え、夢を共有したいと願う人々に出会い、
この本のテーマである「時間」は、文化や言葉、世代、一人ひとりの感性をつなぐ帆船となりました。
—


Photo ©Koichi Namimoto
toka toka library
langDesign
